更年期の骨密度低下はいつから運動すべき?理学療法士が解説

「最近、健康診断で骨密度という言葉が気になるようになった」
「母が骨折してから、自分の骨も心配になってきた」
「何か運動を始めたいけれど、何をすればいいのか分からない」
閉経前後の年代の女性から、こうした声をよくうかがいます。
結論からお伝えすると、骨密度への備えは、閉経してから慌てて始めるより、閉経前の40代から意識しておくほうが、選べる手段が増えます。
ただし、運動の内容は、現在の骨の状態や体力によって適したものが異なります。
自己流で始める前に知っておいていただきたいことを、理学療法士の視点でまとめました。
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目次
- ○ なぜ更年期になると骨密度が下がるのか(エストロゲン減少と骨代謝の関係)
- ○ 骨密度が低下するとどんなリスクがあるのか(閉経後の骨折リスク・生活への影響)
- ○ 骨密度対策は何歳から始めるべきか(閉経前からの早期介入の重要性)
- ○ 骨密度維持に効果的な運動の種類と頻度
- ○ 自己流の運動が危険なケースとその理由
- ○ 指定運動療法施設で「運動処方」を受けるという選択
なぜ更年期になると骨密度が下がるのか(エストロゲン減少と骨代謝の関係)
骨は、一度つくられたら変わらないものではなく、古い骨を壊す働き(骨吸収)と、新しい骨をつくる働き(骨形成)を繰り返して、常につくり替えられています。
女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、骨をつくる骨芽細胞を助け、骨を壊す破骨細胞の働きを抑える役割を担っています(厚生労働省 e-ヘルスネット)。
閉経が近づいてエストロゲンが減ると、破骨細胞による骨吸収が優位になり、骨量が減少しやすくなると考えられています(日本内分泌学会)。
骨量の変化は、おおまかに次のような流れをたどります。
・20歳代の頃までに、骨量は最大に達する
・40歳代に入ると、骨量が減り始める
・閉経前後の50歳頃から、さらに急激に骨量が減少する
閉経の時期は、40代後半から50代前半とされています。
つまり、更年期は、骨量が下がりやすいタイミングがちょうど重なる時期にあたります。
骨密度が低下するとどんなリスクがあるのか(閉経後の骨折リスク・生活への影響)
骨密度が低下して骨がもろくなった状態が骨粗しょう症です。
骨粗しょう症そのものは、初期にはほとんど自覚症状がありません。
そのため、気づかないうちに進行し、骨折をきっかけに初めて分かる、というケースも少なくありません。
骨折が起こると、生活に次のような影響が出ることがあります。
■脊椎の圧迫骨折:背中や腰の痛み、背中が丸くなる、身長が縮むといった変化につながることがあります
■大腿骨(太ももの付け根)の骨折:高齢になって転倒により起こると、寝たきりにつながることがあります
■骨折が元に戻りにくい:骨全体が弱くなっているため、一度折れた骨がもとの状態に戻りにくいとされています
背中や腰の痛みが続く、背中が丸くなってきた、身長が縮んだ、といった変化がある場合は、運動を始める前に、一度医療機関(整形外科・婦人科など)で相談することをおすすめします。
骨密度対策は何歳から始めるべきか(閉経前からの早期介入の重要性)
「何歳から始めるべきか」という問いに、これといった線引きはありません。
ただ、上でお伝えした骨量の流れを踏まえると、次のような考え方ができます。
■すでに20歳代で骨量のピークは過ぎているため、そこから増やすことより、減るスピードをできるだけ緩やかにすることが現実的な目標になります
■40代で骨量が減り始めるため、閉経のタイミングに入る前から備えておくと、閉経前後の急激な減少に向けた準備ができます
■閉経後からでも遅くはない
運動による力学的な負荷は、骨密度や転倒予防の面で効果が期待されるとされています(骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版)。
何歳であっても、運動を始める意味はあります
まず取り組んでおきたいのは、今の自分の骨の状態を知ることです。
骨密度の検査は、整形外科や婦人科などの医療機関で受けられるほか、自治体によっては骨粗しょう症検診を実施しています。
ご自身の状態が分かれば、必要な運動の内容も考えやすくなります。
骨密度維持に効果的な運動の種類と頻度
骨は、重力や筋肉の力による力学的な刺激を受けることで、強くなろうとします。
ガイドライン(2025年版)には、骨粗しょう症に対する運動の種類として、有酸素運動、筋力トレーニング、荷重運動、ウォーキング、太極拳などが挙げられています。
特に意識したい運動の種類は、次の3つです。
1. 体重がかかる運動(荷重運動)
ウォーキングなど、体重を足で支えながら行う運動です。
水中運動よりも、重力のかかる陸上での運動のほうが適しているとされています。
2. 筋力トレーニング
筋肉が骨を引っ張ることで、骨にも刺激が加わります。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人の目安として、筋力トレーニングを週2〜3日行うことが推奨されています。
慣れないうちは、自分の体重を使った運動から始めるのがよいでしょう。
3. バランスを整える運動
骨折の多くは転倒をきっかけに起こるため、筋力とバランス能力を保つことは、骨折予防の面からも重要です。
<自宅でも取り入れやすい例(一般的な例です)>
・日常的なウォーキング(1日の歩行量を意識する)
・椅子から立ち座りを繰り返す運動
・かかとを上げ下げする運動(壁や椅子に手を添えて行う)
・手すりや壁につかまっての片脚立ち
これらはあくまで一般的な例で、すべての方に適しているわけではありません。
また、運動に加えて、食事(カルシウムやたんぱく質などの栄養)や、日中に適度に日光を浴びることなども、骨の健康には大切です。
運動だけに頼らず、生活全体で考えましょう。
自己流の運動が危険なケースとその理由
骨にとって良い運動も、やり方や身体の状態によっては、かえってリスクになることがあります。
次のようなケースでは、自己流で始める前に、医師や専門家に相談してください。
1. すでに骨密度が低い、または骨粗しょう症と診断されている
骨がもろくなっている場合、強い衝撃や過度な負荷は、骨折のリスクを高める可能性があります。
運動の種類や強度は、現在の状態に合わせて選ぶ必要があります。
2. 背中や腰に痛みがある、身長が縮んだ
脊椎の圧迫骨折が隠れている可能性があります。
この場合、まず医療機関での確認が必要です。
3. 脊椎に強い前屈やひねりの負荷がかかる運動
骨が弱い場合、体幹を大きく曲げたりひねったりする動きは、脊椎に負担をかけることがあります。
やり方に注意が必要です。
4. 膝や股関節に痛みがある、または転倒リスクが高い
荷重運動やジャンプなどの刺激が強い運動は、関節への負担や転倒の危険もあります。
バランスや筋力に合わせて、段階的に進めることが大切です。
「骨に良いと聞いた運動」をそのまま取り入れる前に、自分の骨の状態、関節の状態、体力を確認することが、安全に続けるための前提になります。
指定運動療法施設で「運動処方」を受けるという選択
ここまでお読みいただいて、「自分に合った運動が分からない」と感じた方もいらっしゃると思います。
そのようなときの選択肢の一つが、医師の指示に基づく「運動処方」を、専門家のもとで実施するという方法です。
Rifegym(渋谷)は、厚生労働大臣認定の指定運動療法施設であり、在籍するトレーナーは全員が理学療法士(国家資格保有者)です。
運動を始める前に、可動域・筋力・バランス・動作のクセなどを評価した上で、今の身体の状態に合った運動の種類・強度・頻度を組み立てます。
また、指定運動療法施設の利用は、条件を満たした場合に医療費控除の対象となり得る制度があります。
ただし、ここには大切な注意点があります。
・国税庁の取扱いでは、医師が疾病の治療のために運動療法を処方した場合が対象です。
・骨密度が気になるという理由だけで通う場合や、予防・健康づくりのみを目的とした利用は、医療費控除の対象にならない可能性もございます。
・骨粗しょう症などの診断を受け、医師が運動療法を必要と判断し、処方された場合に、条件によっては対象となり得ます。
まずは体験セッションで、今の身体の状態を確認し、ご自身に合った運動の進め方を相談してみませんか!?